メルマガ #11 過去トラの現場での利用

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【製造業の改善と革新の会】

木曜メールマガジン

”原理からのDX”を語る

元トヨタ業務改革室長

#011

今月のテーマ
【過去トラの活用法】

今では、製造業であらゆる仕事の中で用いられる過去トラの利用価値についてのお話です。

今後の配信予定

 

     1、過去トラとは、   

2、対策の重要性、

3、対策は誰がすべきか、

4、エンジニアリングへの活用、

5、現場での利用 今回配信

6,生産技術での利用、

7、,製品開発での利用

 

【現場での活用】

過去に起こった問題は、特に製造業では過去トラと呼ばれています。過去トラとは過去のトラブルのことで、一般的には過去のトラブルを参考にすることで、同じような問題を再発させないようにしたいと考えています。

しかし、このように過去トラを使い切れている企業はそれほど多くないことが分かっています。過去トラはどのように扱われていますか?と質問すると、サーバーにトラブルの報告書が保管してあります。或いは、トラブルが発生した際には、速やかに社長以下の幹部社員や課長まで一斉メールで伝達していますとの返事が返ってきます。

では、過去トラの内容として、どのようなことが書かれていますか?そして、対策や結果まで記録されていますか?とお聞きすると、実は、その点については十分フォローできていないとのお答えがよく聞かれます。

このようなことがないように、どのように過去トラブルを扱い、活用すると良いのかについて、具体的に解説をしていきます。

今回、過去トラの現場での利用について考えてみることにしました。

1、製造現場の目標は何か?

 現場は商品を完成させる工程であり、特に最終組立ラインは売上を立てる商品を完成させる工程です。従って、日当たり生産量の目標通りに生産できなければいけません。

投入人数に対する完成品数が計画値以上であることを目標とします。この計画値はどのように算出されていますか?多分、過去の実績を考慮し、受注量を鑑みて生産管理部署が判断して決めていると思います。

では、現在の製造現場の能力はいくつかとの問いに明快に答えれる生産管理や製造現場は少ないと思います。

ここの生産能力の理論値の算出が難しいのです。理論値なので、きっと計画値よりは高いはずです。しかし、このように目標とする理論値が明確にできていないことは製造業の運営において大きな欠点だと思います。

皆さんはどのようにして理論値を決めていますか?

与えられた人数で理論値以上の生産量を実現することにチャレンジしていますか?ほとんどの企業は、過去の作業者数とその時の出来高を実績として、その生産性を右肩あがりに改善してきているのだと思います。そして、理論値はその時々でいくつであるのかが明確かされていなかったのではないかと思います。これが現場依存の実態なのです。

製造現場には新人、器用さ、動きの速さ、経験年数、年齢、生別、外国人などがまちまちの方が作業し、一定の熟練度に至るまでの期間も異なります。

いろいろな熟練度の人の集合だということで、この総合力をいかに高めるかが大切です。

誰でもその日の内から働ける作業を設計する必要があります。新人、器用さ、動きの速さ、経験年数、年齢、生別、外国人に区別なく教えられる行える作業とはどのような事になっていれば良いだろうかと考えていますか?

生産タクトが長いと習熟は遅くなります。製品種類が多くある場合には、すべての製品を1本のラインで生産する方がタクトを速くできます。いかにも生産性が良くなっていると考えていないでしょうか?

タクトが長くなれば、1人の作業は製品仕様の違いで種類が増え平準化の場合には、覚える期間も増えていきます。

本当に製品ミックスの生産ラインは生産性が高くなるのでしょうか?

この問いをいつも忘れずに製造現場を観察し、その結果と過去トラの内容を関係づけていくことが必要だと思います。

2、誰でも働ける生産ラインづくり

だれでも働けるラインは生産タクトが速く、製品仕様の種類が少ないことが重要です。

生産量が少なく(タクトの長い)製品仕様の違いがある生産ラインはベテランで構成すべきです。

人手不足の今日、新人の採用やベテランの退社、修業期間の短期化(早期離職)があたり前になっています。このことへの対策を生産は考えることが必要です。

生産性向上、品質向上の前に、そもそも生産ラインは今の状況から未来において何が正しい形なのかという疑問を持つ必要があります。

モチベーションアップのためには、給料もアップする仕組みが必要です。

組立や溶接、塗装毎に工賃の原単位が違う現状だけではなく、習熟仕様、作業種類別、生産タクトによって賃金を階層化することも考慮すべきでしょう。

すぐに働ける、仕事を覚えて給料を払える。この実現のために、これまでの生産形態との違いをシミュレーションするべきです。

過去トラはすぐに働けるかどうかで層別します。そのトラブルはどの様な年齢で勤務経験で、生産タクト、性別などの人がどんな製品のどんな仕様を作業して発生したかで区別するのが大切です。

新人が難しい作業を行った過去トラ、新人が簡単な作業をした場合の過去トラ、ベテランが難しい仕事、簡単な仕事をして発生したのかを層別することでなにかには気づくことになるでしょう。

これまでの様に均質な日本人労働者で製造を行なうことができないと考えるべきで、この視点を持てば、何をすべきことかというまさに考えるべきことを考えることができるはずです。

伝統工芸士の職人が新人を修行させる場合には、一番簡単な作業から自分の仕事を手伝ってもらうと思います。一人前になるのは10年、20年もかかると思います。

これと同じで生産ラインで作る商品も、簡単な作業から時間をかけて熟練作業者へと育成していくべきです。その道筋を体験的に実生産の場を持って体験させていくことで良い人材が育成できるのではないでしょうか。

ボッシュの安全の考え方と同じで、品質も水面上に出た(発生した品質不良)の影にはその何十倍もの品質不良の可能性があります。過去トラとして表面化したものは、顕在化した一部に過ぎません。したがって、問題が起こらないかという意識で工場の現場を観察することが大切です。その意識があれば、問題が実際に起こってしまった際には、本当に悔しさを感じることができると思います。

品質に限らず、安全、生産性、リードタイムなどの問題発生時に悔しさを感じる現場組織にする必要があります。

製品の種類が増えていく場合には、生産ラインをどのように性格づけを行い、それぞれの生産量変動に対してどのような工程設計をするかという考える順番を行なうことが必要です。

仕事のプロセス設計も生産ラインのプロセス設計も第一優先の考える対象は人だということです。

過去トラを読み解いていくと最後は人の技量の問題だという結論になりがちです。

これはエンジニアリングができていないことだと思っています。人の技量が問題になるに決まっています。だから、どのようにをそれを解決するのかが必要なのです。

個人の人の責任と決める前に、エンジニアにはまだまだ多くの考えることがあります。

このような精神思考を考えることを考えるという講座で学ぶことができます。

 

次回のテーマ
【生産技術での利用】

最後まで購読いただきましてありがとうございます。

過去トラの現場での活用お話しします。

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/発行人
株式会社デジタルコラボレーションズ
代表取締役
石井創久
/住所
名古屋中区富士見町14−15
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