既存データが役に立つものづくりDXにおける知識の記録方法

文書を記載するアプリケーションの選択を考えること

 書類を作成する際の問題点についても触れておきたい。多くの方々はWindowsPCならWordやEXCEL、Powerpointなどを利用していると思う。これらは原稿用紙、表、白紙に図や文章を書くツールである。

どれをとっても、その中に思考を効率化する機能はない。そして、これらの書類を生み出すことになった関係書類との関係を結びつけることはできない。書籍の最後には参考文献が掲載されているが、一般的な仕事の書類にてはそのような配慮は少ない。したがってどの書類ファイルも独立した扱いしかできない問題がある。

また、なんでもEXCELの表に文字を埋めたがる人も多い気がします。表は縦横の項目を何にするかは大変重要である。表の中を埋めようとすると、埋めることができないことに直面する。或いは無理やり埋めようとする。

いわゆるRDBが表と表との関係でデータを蓄積するが、その形式に当てはめることが難しいデータがある。

要するに、人の思考を表の中に整理するのは、どのような場合でも可能ではないと言うことだ。したがって、表だけに整理の形式を委ねる考え方はよろしくない。

ファイルの原本とコピーの氾濫をなくすこと


 ファイルサーバに保存された欲しいファイルを見つけることも難しい。これも問題である。先にも述べたように、いつでも普遍的な分類などは決められないからである。

更に、過去のデータを修正して用いることも行われている。これも問題だ。過去の書類はその当時の条件や環境、考え方の中で作成されたものであり、一旦、ファイルサーバに保存したものの原本は修正できないようにすべきだと思っている。

それは作成された時刻に記録された文書である。このことから、作成された書類はそれを参照、コピーする際には、原本とは異なる形式(イメージ、PDF)で取扱うべきだと考えている。

知識の記録方式の発見


 弊社の知識の記録方式のアイデアがここにある。それは過去の書類でも“見た”対象であること。その見たことは将来も編集されてはいけないこと。更に、どのような部分を見て、気づきを得たかを記録するために、その部分を記録する必要がある。

私は、その部分を座標値で扱うことにした。座標値を用いることで、人が見た対象の部分をデータとして記録するのは一般性がある。2次元である必要はなく、このアイデアを実装する場合には、3次元空間の座標値を見た対象の部分として場所を記録することとしたのである。

そうすれば、ものづくりで利用されている3DCADシステムのモデルにも記録することができる。バーチャルリアリティで表示されたデータにも座標値をもって気づきを記録することができるのである。この方法を特徴点による知識記述と呼ぶこととした。これを知識記録の方式としたのである。

DXを実現するにはデータ管理とメモの取り方を変更すれば低コストで可能となる。

私のメモの取り方とデータ管理

さて、自分のメモをどのようにとっていたかを紹介し、そこでの問題点をお話ししたい。会社にいた頃はシステム手帳に全てを記録していた。一冊の手帳の中を、仕事のテーマ毎に分け、ラベルを付与してその中を時間軸に追記していた。あとで振り返って何かを思った場合には赤ボールペンで、そのページに追記していた。会社を離れてからは、evernote に同じように仕事のテーマで分類し記録している。これはすでに10年くらいやっている。インターネットの記事もそれを貼り付け、新聞の電子版の記事もevernote に記録している。しかし、PCで自分で作成した文書ファイルをどのように保存するのが良いだろうかと考え、Dropboxに保存を始めた。使い方としては、evernote は会議録と他者の資料。Dropboxは自分や取引関係者の資料と使い分けている。
 このようなことを行なっていると、文書と会議録が分かれてしまい、常にファイル探しをすることになってしまう。これは今でも続いている。これはメールでも同じで、仕事の内容をメールでやりとりすると、その時々の内容はメールに残ってしまう。わざわざテキストにして、Dropboxにおくのは手間である。メールの添付ファイルも問題である。添付ファイルもいつか忘れてしまい、Dropboxのなかを探して途方に暮れたりしている。

メモはイメージデータと一体とすればデータ管理が用意となりDXに役立つ


 人の考えたことには、気づきなどのメモ、テーマに関する文書。作成途中と完成文書がある。インターネットで見たものには記事、動画、写真、などがある。自分のカメラで撮った写真や動画もPCの中にある。これらはまとめると、全ては気づきと見た記事である。これを考えたこととその対象という言い方で抽象化している。
 結局、自分の考えたことの記録と考えた時に見たものが別々になっていることが、大きなストレスになっていると分かった。これらを一体として保存できることが必要だと考えた。KJ法でポストイットに書いて断片的な考えたことと、その整理の結果得られた文書ファイルはバラバラに扱われてしまう。ポストイットは捨てられてしまうことが普通だろう。ポストイット同士の関係性についても、最終の文書ファイルには記録されないことがある。つまり時間をかけて考えたことを、その時だけの必要性だけで破棄しているのである。
 語られたこと、結論に至る論理、ストーリーなどが消えてしまっているのではないかと考えている。写真を見ても、動画を見ても、本を読んでも、その時にあること(対象)に発見や気づきや考えが生まれる。それをその対象に記録することができれば、その時考えたことを思い出すことや続けて考えることができるはずである。これを実現することが知識の蓄積となるからだ。これができることで、作られた文書、インターネットで見た記事などを参考にして、新しい意見や思想やサービスなどを創造的に作り上げていくことのできるi思考環境だと考えている。
そして、これを実現する方式を知識の蓄積方式だと考えている。

これについてはイメージデータの登録方法をお読みください。

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