製造業の継続的な問題解決マネージメントの必要性とは

製品の構造と生産の効率性の間に解決の難しい長年の課題というものがある。設計が構造を考える限界と生産が工程を創造する限界が共に接点を持つポイントまで到達していない課題がある。

 製品によって、そのような課題が無いものもあるだろう。しかし、どの様なレベルのことに着目しているかにもよる。このレベルが、異なっていることを理解すべきだと思う。

 製品とユーザーとの間にも同様な課題がある。ユーザーからは、もっとこのようにして欲しい事に対して、設計の標準やコスト、性能の考え方とぶつかることがある。

 このような長年の課題となっていることを解決しようと考え続けていれば、いつか、その解決策が生まれて対策できるようになるものだ。

 イノベーションと言われながらも、イノベーションが行われないのは、そもそも、長年の課題を持っていないことによるのでは無いだろうか。

 いきなり、世の中の課題を解決する製品やサービスを立ち上げようとしても、その思考訓練と実現の基本技術を保有できていないので、どのように進めて良いのかで困ってしまうことになる。

 ブレーンストーミングさえ、自分の会社でやるべきことか?やることができるだろうかとのバイアスが掛かっていて、結論に至らないこともあるだろう。

 長年の課題を解決する際に、発明や新技術の発見がある。最近の製品開発を眺めていると、欧米の二番煎じが多くある。にも関わらず、欧米が日本の真似をしている製品はあるのだろうか?

 ものやサービスを実現するスピードは大きな投資を行う欧米にはかなわないだろう。これではイノベーションも遅れてしまう。安全や安定思考の経営では尖った製品やサービスは実現が難しい。既に多くの顧客を持ち、そのビジネスに集中する方針であれば、それも良い。

 ビジネスを変えたいと思うならば、社員も経営陣も頭を切り替えなければいけない。我慢が必要だと思う。それには、変えたいビジネスは何であり、なぜそれが重要なのかを突き詰められていなければ継続しない。将来の事業にしようということと、面白いからやってみるかということとは大きく違う。

 日頃から、考えたことをメモして、考えを成長させて、外部の情報と組み合わせて、そして考えたことをメモをするという、考えたことの蓄積が論理的に重要性を説明できる事業アイデアに帰着するものと思う。ふと浮かんだだけのピッチがうまいだけではその後は続かない。残念ながら、企業の中ではこのようにメモの蓄積が重要視されていない。

製造業のデザインレビューの目的は潜在的問題点を顕在化し、関係組織にて解決し経営指標を高めることにある。

サプライチェーンの中の潜在的問題点の顕在化

仕事は問題と対策の繰返しである。計画通りに進まないのが当たり前。しかし、同じ間違いを繰り返す事は避けたい。デザインレビューを例に問題点管理の重要性と知識の記録との関係を説明する。
 デザインレビューで気づいたことは、その対象である設計図面のイメージ図に特徴点記録方式によって記録する。例えば、部品と部品との隙間を設計者は1mm で図面を作成したとしよう。2つの部品は、板厚0.7mmのプレス品としよう。さて、生産側はこの隙間を適切な寸法と考えるかどうかという視点が必要だ。それには、設計として1mmの隙間をどの位の公差で製品化したいのかを確認する必要がある。仮に、1±0.5mmなら、生産側は、バラツキをこの公差内に抑えることができるかどうかという判断が必要になる。
 生産側はどのような加工法を現在行なっているのかを知っていないといけない。更に、その加工法における工程能力も把握していないといけない。知っているからこそ、問題だと言えるのである。
 このように、ものづくりのサプライチェーンの中には、膨大なものづくりの知識が存在している。その加工工程を知っているのかどうかはデザインレビューにおける気づきの有無に影響する。ものづくりの知識は現場での体験によって記憶に留められるものだ。座学では、感覚は身につかない。しかし、全ての人がサプライチェーンの中の全ての現場を体験できることなど不可能である。会社も組織も機能分担されているために、そのような体験ができる事はあり得ないことである。

デザインレビューを通じて周知を結集し、経験を共有することができる


 そこでどのように擬似体験を行うことができるかを考える必要がでてくる。人は成長してながら、後任にバトンを渡さないと社会は成長していかない。これまでバトンを渡さない企業を何社も見てきたが、すべからく進歩の無い硬直化した組織であった。
 人は突然と何かを思い出して生きているように思う。それは新聞を読んでいたり、小説を読んでいる時や、絵画を眺めているとき、遠くを見ているとき、人にあった時、などいろいろな場面で起こりうる。その時には、目に見えた絵と結合しているように思う。だから、嗚呼、どこかで見たなあ、あの人とそうだ鈴木さんと、渋谷の駅でばったりと会って、懐かしい学生時代の部活の話をしたなあ、嗚呼、そうだ今、中村くんはどうしているかな?など、芋づるのように思い出が湧き上がってくることがある。この状態を知識の繭の糸を紡ぐと表現している。
 製品の図面を見ても、嗚呼、あんな失敗をして生産が品質不安定で苦労したなあ、、と問題点と対策が繭の糸を紡ぐように脳裏に浮かび上ってきて欲しいのである。

問題点は膨張するビックデータである。真っ先にDXで取り組むべきシステム化。


 このようにするには、図面と一体に問題点を記録するビジュアルな方法が周辺の部品の関係などからも、過去の記憶を呼び出せる。そして、そのような失敗を問題点として皆が記録すれば、他者の失敗にも具体的なこととして、理解でき記憶に留めることができようになる。失敗を個人の記録として解決できたら一件落着とするのではなく、未来のバトン渡しのために、発生した問題点をその失敗事例のイメージ図の中に記録させるckweb2 による問題点管理はマネジャーの役割だと考える。