最終組立における設計者のジレンマの解決方法

組立工程の視点から製品設計者が直面するジレンマをお話し致します。

 組立工程というものは、複数の部品から構成される製品を組立する工程もしくはは生産ラインを想像して下さい。

 子供達が校外学習で自動車の組立ラインの見学が行われているので、その生産ラインを思い出して見てください。

 ラインを外から観察すると、いかにも問題もなく、ものすごい速度で車が組立られているように見えると思います。

 部品を自動車に組立するには、その作業は大工さんの釘打ちを想像してください。

 釘を打つ際には肩の少し上あたりの高さの釘を打つのが一番楽な姿勢で作業ができる。

 これは自動車の組立工程での作業でも同じことです。

 しかしながら、車の中の作業や、車の床裏に組むサスペンションなどの組立作業は一番楽な姿勢で作業を行うことが難しい。

 設計者は自動車の製品構造の図面を描く時に、機能の実現以外に原価や品質、作業性など多くに生産ファクターに留意して線を描く必要があります。

 一方で、生産側にては、この解決できない作業性を設置や方法などを工夫して対策をする。

 しかし、設計でも生産側でも本質的な対策ができないことが多々あります。

 この本質的な対策ができない事について、どのくらいの満足度で双方が納得し合うかが、その企業のものづくりの到達度の高さを表すものと考えています。

 設計者には倫理観を持ち、どんなにあらゆる問題を解決したくとも解決できない問題が残るものである。

 その残問題を生産側の力で解決されているから製品が粛々と生産できているのである。

 先の組立ラインの素晴らしいものづくりは、生産側が設計者のジレンマを解決した結果である。

 このようなことを理解できない設計者にならないように人を育てることが重要と思う。

製造業のデザインレビューに準備すべき大きな2つの情報共有

組立の工程設計には部品の組立順序の情報化によりデザインレビューの価値が出る

設計とのデザインレビューの際に、生産側の視点には生産の加工工程の順序がある。特に多くの部品点数を扱う工程である組立にはこの順序は重要なチェックポイントである。組立生産ラインの部品組立順序は、知識としては複雑な要素を考慮した結果として決定されているものである。その要素と考え方は外部からは想像できないものとなっている。企業によっても異なるものである。これらの要素と考え方はどこから見つけることができるかを説明していく。

 製品の設計者は機能をどのような理屈によって、その部品構造をどうすべきかを考える。この時に、組立の結合構造を考え、それによって、設計的な組立順序が決定される。この決定プロセスは大変重要であり、この順序を決定することになる結合構造や部品分割の範囲に対して生産側が生産ラインの効率性の観点から適切な意見を述べる必要がある。
 
 実はこのプロセスが機能していないものづくり企業が結構多くあるのである。このような企業は当然後日に生産性問題により、設計変更が多く発生し、しかも、設計はほとんど終了まじかでの設計変更であるために、設計的なコストアップと品質の信頼性についての不安を持つような対応可能な範囲での設計変更となってしまう。このことが問題なのである。設計者も納得した最良の構造にならないことを実施することになるのである。

加工工程の工程能力の共有化もデザインレビューには必須である。

 部品組立順序の他にも、品質を守るための加工精度とそれを実現するための方法なども一緒にデジタルレビューの段階で検討されなければならない。このような検討を行った結果として製品の構造が決定されるのである。したがって、製品の横並び構造が過去から整理されていれば、良否の判断と根拠も社内での合意が取りやすくなることは想像できると思う。

後の人の為に、当事者がどのような技術や知識を残せるかを考えて仕事をすること。

 人の仕事は結論だけが記録される。それも、ある一面的な範囲の中で議論されやすい。エンジニアの仕事は、このような習慣の中から進歩していないのではなかろうか。何年も何年も、なぜこのような問題に対して、手法が発見されないのであろうか。人は自分のためではなく、後世の人のために、何を残せるかをいつも考えなければいけない。企業の中の知的創造においても、同じことなであるが、残念ながら、そのような習慣にはなっていない企業が見受けられる。

 それは私達の考える方法についての興味や関心の無さにあるように思う。日本には多くのものづくり企業が存在している。考える方法についての出版物もあまり見たことがない。50年間くらい進歩が無いように思うのは私だけではないだろう。知的生産の技術に書かれていること以上の手法を是非教えていただきたいものだ。