びっくりする初めてのアイデアを日本がチャレンジできる社会を

もし事業を始めるとしたらどのような事を考えますか?

 次世代と言われる事業の計画や実験を聞いていると、解決しようとする課題が小さすぎないかと思う。

 世界では、もっとビックリするアイデアというか、本気度でそんな事やるのかと思う事業がどんどん出ている。

 なぜ、日本企業は、ビックリするような事が登場しないのだろうか?

 1つには、企業のビジョン構築能力が足りないことが挙げられる。

 2つ目は、ガッツのある社長が少ない事による、リスクの心配し過ぎ。

 3つ目は、アイデアを発想するチームが存在しない。或いは弱い。

 4つ目は、アイデアを実現する人材を社外に広く求めない。などが思い浮かぶ。

 大手企業はメイン事業を変える事ができるようなアイデアでなければ本気にならないと思います。

 じっくりとアイデアを練り、例えば5年待つような辛抱ができないのではないでしょうか?

 大手企業が事業展開するのは大変困難な道を辿るように思います。

 既に強固なビジネス基盤を保有して、数千・数万の社員を抱えている規模は、前提として、その社員を雇用し続けることができなければ事業を転換できない。

 そのうちに後発企業が、もっと良い商品やサービスで大手のビジネス基盤を侵食してくることは容易に想像できる。

 そのような危機感で、次のビジネスの柱を構築したいのであるが、これが大変難しいことである。

 中小企業がアイデアを実現できるかと言えば、兎に角、資金の問題が出てきます。それも、投資がなされるなら進んでいくと思いますが、チャレンジへの投資はこの国では弱いと思います。

 こんなことを書くと若い人の意欲を低下させてしまうのが気になるので激励をします。

 そしてもはや、若い人がこのように硬直化した社会構造をリビルドするしかないと思うのです。

  いろいろなことが、古いルールや手続きなどで縛られていて、不要なルールや手続きを廃止した方が良いものが沢山あると思っています。

 若い人は起業するも良く、企業に入るなら大企業を薦めません。

 思い切った仕事をしたいなら、そして人生を振り返った時に、これができたと言いたいならば自分の意思を持てる場に身を置くことが必要です。びっくりする事業を期待しています。

製造業は誰でもどこでも働けるものづくりの環境の実現を

これからは誰でも、どこでも働けるものづくりをする必要があります。

 誰でもとは老若男女、ハンディキャップのある人も、外国の人もです。

 残念ながら日本の企業は、このようになっていないと思います。

 まず、法律上の制限は別として、ほとんど仕事や作業は立ち姿勢が多いですね。

 その方が、動く動作が速くできるという観点からそのように立ち姿勢が多く採用されています。

 これからは、例えば作業の生産性より作業環境を一番にする必要があります。 

 いかに、楽に作業ができるかという観点で、作業環境を見直すべきと思います。

 直接作業工数の削減に大きな重点を置いてきましたが、これからは人間らしさを求められるでしょう。

 その上で、生産性を維持すれば良いのです。直接作業工数のコストは製品原価の僅かな比率でしかないからです。

 生産性のために、品質や作業安全が2番手になっている企業もあるようです。

 人の生活の場としての職場の作業環境を良くすることは、その企業の社員に対する接し方を表しています。

 特に設備を多く保有して製品を作っている企業は、作業環境を改善するには大きな投資が必要となるでしょう。

 作業環境はその製品の設計構造と、それに対する設備の仕様に大きく関係しています。

 作業環境を改善したいと思うと、多くは製品の設計構造を修正しなければいけません。

 その際に、2番目に位置付けた生産性(含むコスト)を下げるアイデアを考えれば良いのです。

 考える優先順序を逆転すると、全く異なるアイデアが発想できるようになります。

 大事なことは、物事を決める優先順位は正しいかと問うことです。

 その優先順位は、これからの未来を見据えた順位になっているかどうかです。

 日本のものづくりは生産性という個別問題にこれまで取り組んできました。

 しかし、その陰で失っていることが安全と品質では無いでしょうか?

 今一度、生産性向上だけの現場運営が本当に正しいのかどうかを考え直すことが必要と思います。

製造業の技術コミュニケーションは企業のものづくり力を高度化する

製造業のエンジニアリングとは

エンジニアリングとは過去の知識、事例の記憶とその選択、組合せにより実現したい課題を解決する業務と定義している。この点で、エンジニアリングはITの活用が可能である。しかし、多くの課題はその要素の単位が異なることの組合せであるがために、その課題を解く数式を持ち得ない仕事となっている。


 例えば、燃費向上に於いて車の重量軽減という方針で検討する際、重量を軽減する材料をアルミや複合材料を選択して評価するにも、その材料の値段や車体の成形技術のレベルにより加工費が変化する。その時点で求めた材料費と加工費の増加コストが燃費向上分と天秤に掛け、意味のあることかどうかを意思決定する必要がある。

過去の知識は改廃され更新されなければならない


 このようなある時点での製造、加工技術により、その時点での製品性能の採否を決定する業務であるために、過去を振り返ってみると、今の製造、加工技術を用いることによって、過去の意思決定とは異なる決定が下されることが日常的である。つまり、技術はその時点での知識であり、その時点での経験である。


 したがって、技術進歩を行うには、過去の知識を知った上で、今の技術から、これから必要となる技術課題を捉えることが必要である。
 しかしながら、過去の知識や今の技術を企業はどのように把握し、企業の財産とすることができているかは、全く不十分なレベルであると言わざるを得ない。企業の中でものづくり知識を共有することで、よりスピーディな意思決定とより正しい判断が行えるエンジニアリング環境となるはずである。


 特許を取得するためには、過去の特許調査に始まる。知識の調査の上に請求項が特定される。これと同じことが、エンジニアリングに於いても必要でありこのことがスピーディーに誰でも行うことができなければいけない。調査という仕事はエンジニアに必須の業務となっている。

エンジニアリングの中にある無駄なことは調査工数である


 しかしながら、企業の中では、いつも調査からスタートすることが多いのではないだろうか。これは技術そのものの蓄積の方法が特許という形式でしか行われているいないからであり、企業内の技術の蓄積の方法を経営者はもっと真剣に考えるべきである。

技術の蓄積に情報技術を活用すべきである


 DXという言葉に振り回されずに、エンジニアリングの業務とは何をどのように行うべきかを考えれば、やるべきことは明確で、その概念は、ものづくり企業に共通であるはずだ。このような概念を明確に説明するシステム企業が存在しているのだろうか?そこが日本のIT活用の問題である。IoTデバイスやセンサー、箱売りだけでは進まないはずだ。

機能の異なる組織を結ぶ情報技術が必要である


 知識の蓄積の方法としては、事例の記憶とその選択、組み合わせにより実現することが必要である。事例とは企業において、各組織の機能により、対象となる事例は異なる。また、事例の説明の範囲も各組織の機能範囲に限定されることになる。一般的にこの機能範囲は重なっていることは少なく、どちらかと言えば、効率化のために、重複のないように機能範囲を業務分掌で定義することになる。ここに各組織の機能が接続の難しさの原因となっている。

それは、エンジニア同士の技術コミュニケーションを実現することで解決できる。


 この接続を人のコミュニケーションにて相互に理解し、それぞれの組織機能に必要なことだけを解釈しあい、その結果をその組織にての結論とする仕組みとなってしまっている。
 エンジニアリングにITを導入する難しさがここにある。したがって、事例の記憶の為の記述方法にこの人のコミュニケーションにて処理されている知らない情報部分を得る工夫が必要となるのである。
 

DX推進の壁になっている製造業のアウトソーシングを見直すべき。

製造業のアウトソーシングは拡大している

企業のアウトソーシングは企業の成長と共に増える傾向にある。これは生産量の拡大などにより、社内の正規社員を増やすのではなく、外部の派遣企業などを活用し、一時的な業務負荷への対応をするためである。或いは、費用が相対的に少ない社外を利用することで、利益を増加さえるために行われている。

アウトソーシングの問題点

しかし、アウトソーシングにおける問題点は企業のコア技術を社内に残すことができず、生産量の縮小などで再度、社内でその業務を実施する必要があるときに、コア技術が失われ、社内では実施することができない問題を起こすことになる。(技術の喪失)。もう1つの問題点は企業が面倒な業務をアウトソーシングすることで、企業内に業務を管理するだけの社員が増加し、管理業務を仕事と勘違いしてしまうことである。(風土の荒廃)

ものづくりのコア・コンピタンスを忘れてはいけない

今、この2つの問題点で製造業は大変な状態になってしまっているのではないかと推察している。前者のコア技術の社外化から問題の深刻さを挙げると、まず、コア技術(コア・コンピタンス)そのものを意識せずに仕事が大変だから、人が不足しているので社外化していることが多い。コア技術とはものづくりの作り方そのものの技術だけではない。エンジニアはかつて現場の場数を踏んで成長してきたはずである。 

製造業の人材育成と職場環境

しかし、今の時代、新入社員のエンジニアは、いきなり社外の人が活用された状態にある職場環境から仕事を覚えていくしかない。それも自分の仕事は細部化し、与えられた時間の少ない中で業務を進めていくしかない。これは与える側(管理者)の仕事の与え方の問題もある。じっくり考えて仕事を遂行する習慣を身に付けるリードタイムが社員の育成には必要なのである。

考える人材を開発しなければならない。教えられてこなかった教育。

また、インターネットにより、分からないこと、知らなかったことも、短時間に収集することができる。収集した図や文言を引用し、仕事の成果にしてすませることもできる。探すことには長けてはいるが、考える力が身につかない方法である。

現場の見て、頭で考える習慣をつけること

かつてのエンジニア達は工場の現場で物を手にし、油にまみれながら、何故を考え、自分の結論に至り、その結果を、議論することで、更に自分の知識を深めていくことが業務の中で行うことができた。このことは、今でもできない事にはなっていない、できる環境は何も変わっていない。

現場の調査はコア・コンピタンスの重要な業務である。

しかし、現場に足を運ぶ回数が減っているのはどこに原因があるのだろうか。それは、現場の調査は時間と手間がかかるから、社外化していることにも原因がある。他の部署では同じようなことを社外を活用し実施していることを知ると、自分の部署でも同様なことに社外活用を実施したことに思い当たるはずだ。

忙しいと言う職場は忙しくない。それはアウトソーシングしているからだ。

忙しい組織(実は皆忙しいと思うことが多く、暇だと思うことは段々と習慣化し、いつも忙しいと思うように人は考えやすいものだ)はまず、何から効率化すること言えば、現場の調査、あるいは事例の整理などを社外化するはずだ。

効率化とアウトソーシングは逆行している。

効率化とは人が減る方策をまず考えることが先であるのに、生産量の拡大時は、社外化を先に選択してしまったことが多い。実は、この時間がかかり、手間のかかる仕事こそが企業に重要なコア・コンピタンスが含まれていることと管理者は気づくべきである。

経験の積み重ね。面倒なことを避けては技術は身につかない。

振り返るに、人の仕事とは何か。人は全く新しいこと、物に気づき、生み出すことは稀である。それこそ天才と言われた歴史に名を残す賢人以外は、過去の経験や知識をよりどころにして、業務を行っているはずである。手続きや判断が標準化されているものであれば、容易に業務が遂行できる。標準化されていないものであっても、過去の経験や周辺の関係者の知識をまとめて、1つの結論に至っているのである。

考える仕事は内製に戻すべき

コア・コンピタンスは標準化されていないことや物に行き当たった時に、どのように判断をするかという仕事として位置づけられる重要な固有能力である。もし、仮にこのような判断も含めて社外化した業務があるならば、早期に内製化すべきである。


 企業においては、物事を判断する行為や力そのものが企業の能力であり、財産であるはずだ。その一部を社外化してしまっては、もはや企業の能力を社外に分け与えてしまうだけではなく、社外の力を活用しなければ、その業務が行えないことになってしまう。

製造業でのプロフェッショナルな人材育成にはデザインレビューが最適

製品の外側から内部の構造を推察できればプロフェッショナル

ものごとについてプロフェッショナルと言われる人達は皆、外から中を知る能力を持っていると思う。ものについては、例えば、自動車の分解研究をしたことがあるが、インストルメントパネル周りの分解をするにあたり、どこから先に分解することができるのかを推定する。自動車の意匠で誰もが一番接することの多いのが、この場所である。したがって、どの企業のインパネもビスの頭も一切外部からは見ることがないように設計されている。一番最後に組まれた部品は何かを推定することで、その部品を取り外すと、その中に、内部の部品の締め付け部が見えるといったような思想である。複雑なインパネ内の構造もこの思想を基本にすることで、インパネのモジュール化が実現されてきた。単に、部品を見るだけではなく、どのような考え方の上で、その部品や周辺構造は設計されたのかや、どのような加工プロセスで作られたのかなどを見つけることができるようになると楽しいものだ。

関心をもった文書の思考を理解するための関連文書をかき集める

 また、ことについても同じで、これまでの投稿してきた各分野の仕事においても、最終的な文書から、そのことが決められた背景、意図を見つけることができれば、その道のプロフェッショナルと言えよう。しかし、これはインパネの分解研究とは格段に難しい。それは、その文書には、それを分解できる文書が添付されていないからである。多くは、理解されて当然ということは省略されているのである。ここがものとことの外から見た大きな違いである。そこで、ことの理解を深めるには、その文書の関連文書を一通りかき集め、その文書の成り立ちについて、思考プロセスを自分の頭で行う必要が出てくる。そのプロセスにて、違う視点が見つかるかも知れない。その時には、目の前にある文書を修正する必要があると認識することになる。そこで目の前にある文書の作成者が、その文書を完成するまでに見たり、読んだりしたことを、全て、その感想や解釈と共に、記録していたならば、その文書を読む人の理解は圧倒的に早く進んでいくことになるはずだと考えている。

文書作成のプロセスを共有することから始めると人材は育つ

 自動車の部品のように、私達の文書も、その作成プロセスを共有することが必要だと考えている。完成した文書だけでは、人を動かせない。小説家や文書のプロである作家は、みなさん、このような、思考プロセスを記述してくれるので、良くわかるのである。このようになっている伝達の方法がストーリテリングであると思う。企業の内部において、なかなかベクトルが揃わない、意見がまとまらないという原因は、同じ情報と知識を持ち合わせていない集団であるからだ。人であるが故に、個人差があるのは当然だが、もう少し、企業においては基礎的情報と知識を共有する努力をすべきでは無いかと強く思っている。

デザインレビューをすることで考え方や知らなかったプロフェッショナルの人の知識を受け継ぐことができる。

 自動車のようにものづくりには、生産工程という物理的なプロセスが目に見える状態で存在している。それがゆえに、プロセス管理は容易である。各工程で完成したものを外から見て、おかしな点があれば、細部の生産工程を目で見て確認することができる。このようなことを繰り返し経験すると、ものの外部から見た時に気づく要因は、細部工程を見ることもなくかなりの確からしさで言い当てることができる。
 しかし、ことには物理的なプロセスが目に見える状態で存在していない。そのために、完成した文書だけでは、求めていた結果となっていない場合には、それまでの仕事のやり直しをすることになってしまう。言葉は賛成できないが、ダメ出しが必要なのである。ことの仕事にも、ものづくりと同じデザインレビューが必要なのである。このデザインレビューが定着されれば、組織としての考え方を整えることができるであろう。他者の仕事に注文をつけるのは避けたいことではあるが、そのことをお互いに受けいれ尊重し合うことは創造的なことが求められている現代においては本当に重要な意識である。そして、ことのプロセスを記録することがホワイトカラーの仕事の自動化につながるはずである。

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