製造業でのプロフェッショナルな人材育成にはデザインレビューが最適

製品の外側から内部の構造を推察できればプロフェッショナル

ものごとについてプロフェッショナルと言われる人達は皆、外から中を知る能力を持っていると思う。ものについては、例えば、自動車の分解研究をしたことがあるが、インストルメントパネル周りの分解をするにあたり、どこから先に分解することができるのかを推定する。自動車の意匠で誰もが一番接することの多いのが、この場所である。したがって、どの企業のインパネもビスの頭も一切外部からは見ることがないように設計されている。一番最後に組まれた部品は何かを推定することで、その部品を取り外すと、その中に、内部の部品の締め付け部が見えるといったような思想である。複雑なインパネ内の構造もこの思想を基本にすることで、インパネのモジュール化が実現されてきた。単に、部品を見るだけではなく、どのような考え方の上で、その部品や周辺構造は設計されたのかや、どのような加工プロセスで作られたのかなどを見つけることができるようになると楽しいものだ。

関心をもった文書の思考を理解するための関連文書をかき集める

 また、ことについても同じで、これまでの投稿してきた各分野の仕事においても、最終的な文書から、そのことが決められた背景、意図を見つけることができれば、その道のプロフェッショナルと言えよう。しかし、これはインパネの分解研究とは格段に難しい。それは、その文書には、それを分解できる文書が添付されていないからである。多くは、理解されて当然ということは省略されているのである。ここがものとことの外から見た大きな違いである。そこで、ことの理解を深めるには、その文書の関連文書を一通りかき集め、その文書の成り立ちについて、思考プロセスを自分の頭で行う必要が出てくる。そのプロセスにて、違う視点が見つかるかも知れない。その時には、目の前にある文書を修正する必要があると認識することになる。そこで目の前にある文書の作成者が、その文書を完成するまでに見たり、読んだりしたことを、全て、その感想や解釈と共に、記録していたならば、その文書を読む人の理解は圧倒的に早く進んでいくことになるはずだと考えている。

文書作成のプロセスを共有することから始めると人材は育つ

 自動車の部品のように、私達の文書も、その作成プロセスを共有することが必要だと考えている。完成した文書だけでは、人を動かせない。小説家や文書のプロである作家は、みなさん、このような、思考プロセスを記述してくれるので、良くわかるのである。このようになっている伝達の方法がストーリテリングであると思う。企業の内部において、なかなかベクトルが揃わない、意見がまとまらないという原因は、同じ情報と知識を持ち合わせていない集団であるからだ。人であるが故に、個人差があるのは当然だが、もう少し、企業においては基礎的情報と知識を共有する努力をすべきでは無いかと強く思っている。

デザインレビューをすることで考え方や知らなかったプロフェッショナルの人の知識を受け継ぐことができる。

 自動車のようにものづくりには、生産工程という物理的なプロセスが目に見える状態で存在している。それがゆえに、プロセス管理は容易である。各工程で完成したものを外から見て、おかしな点があれば、細部の生産工程を目で見て確認することができる。このようなことを繰り返し経験すると、ものの外部から見た時に気づく要因は、細部工程を見ることもなくかなりの確からしさで言い当てることができる。
 しかし、ことには物理的なプロセスが目に見える状態で存在していない。そのために、完成した文書だけでは、求めていた結果となっていない場合には、それまでの仕事のやり直しをすることになってしまう。言葉は賛成できないが、ダメ出しが必要なのである。ことの仕事にも、ものづくりと同じデザインレビューが必要なのである。このデザインレビューが定着されれば、組織としての考え方を整えることができるであろう。他者の仕事に注文をつけるのは避けたいことではあるが、そのことをお互いに受けいれ尊重し合うことは創造的なことが求められている現代においては本当に重要な意識である。そして、ことのプロセスを記録することがホワイトカラーの仕事の自動化につながるはずである。

デザインレビューに最適なCKWEB2に知りたいことはこちらから

サプライチェーンの品質管理ツールはQCMSを実現できるCKWEB2で他社に勝つ

QCMSとは

QCMS(クオリティチェーンマネジメントシステム)という言葉がある。SCM(サプライチェーンマネジメント)とは異なり、仕入れから最終組立メーカーへの部品の流れの中で、守られるべき品質の繋がりを統制することです。これは社内の工程間でのクオリティチェーンに取り組んでいないければ、外部にまでクオリティチェーンをつなぎにいくのは難しい。自工程完結の運営の中で、前工程に守ってもらいたいことと、後工程に守ることを約束したことが共に明確になってくることである。
 実際には、前後工程は品質管理業務を怠っていることはないと思う。しかし、気がつかなかった管理点が製品の市場品質問題になることが時々あるものだ。人の意識によって行われる業務には、どうしてもミスがある。そこで、気がついていない、見えていない問題点が本当にゼロなのだろうか?との姿勢で、ものづくりを素直に観察することが必要になるのである。結局は、この意識や姿勢の差が製品や企業の信頼感として表れてくるものだ。

人の仕事のミスを未然防止するプラットフォームが必要だ

 品質とコストのバランスをどのレベルにおくのかは、特に人手による作業工程に差が表れている。機械化された加工は、その機械の性能が数値化され、購入価格として一度の判断で決定され導入し、以降は機械がその精度を維持してくれる。しかし、人手の場合は全く違う。どうしてもミスがある。或いは、起こるはずである。生産ラインのコンサルをしていると現場の職制がミスをした作業者を叱る場面に出くわすことがある。そのような場面を見ると、この会社は本質的に人の作業管理ができていないと思うのである。その作業者がなぜミスをしたのかを突き詰めて考え、その原因を対策しなければならない。
 人の仕事は作業だけではなく計画業務にても同じくミスが発生する。ミスを起こした原因を再発防止できる仕組み化を構築する必要がある。ミスをした個人の指導だけで再発防止はできないないはずだ。このようなことから、仕事の成果が製品である企業は、仕事の繋がりの中での、仕事の品質を正しくする必要がある。仕事を正しく行うには、繋ぐために人を介在させない事だ。ミスではなく、恣意的におかしか事をするのも人間である。最近の取引関係の自由性を考えれば、常にお互いが正しく仕事を行うことを担保するプラットフォームが必要だと考えている。

サプライチェーン品質管理ができるのはCKWEB2だけ

このプラットフォームには、品質規格をクラウド上で共有できるckweb2 が役に立つ。例えばセットメーカが管理する1つの品質規格は、それを実現する為には、複数の内製工程の部品の品質規格や仕入れ先の部品の品質規格が関係してくる。また、それぞれの品質規格は更に複数の仕入れ先の品質規格と関係する。このような網の目のような関係性を、1つの企業だけで文書に整理完成させる事はできない。知らないところで3、4次の仕入れ先が変更となっているかも知れない。しかし、1つの企業が、自工程完結を守り、前後工程との品質規格を守る努力を維持するならば、前後工程の企業は、また、その前後工程との品質規格を守ろうとするはずである。意識の高い企業はつながっていくはずである。
私達は、社会活動の中で、きっとこのようなQCMSは維持されていると期待して思っている。しかし、本当に、維持できているかを知る方法はない。安全や基本機能の担保には絶対に守らなければならない品質規格がある。これは常にウォッチできなければならない。自動車の自動運転を実現するにも、航空機を設計製造するにも、ロボット、電車を製造するにも特に自動化された製品の品質保証には、IT技術によって運営されるQCMSが必要だと考えている。

製造業の働き方改革は知識の共有化から進めることが近道である

属人的な業務スタイルは人間関係がなければ知識は個人持ちになるものである。

エンジニアリングにおいて、属人的である事は今も手を打てていない。これではいつまでも個人の保有するノウハウこそが、価値であると言うことになってしまう。ノウハウを活かして、何をするのか、どんな問題を解決したのかが価値である。技術者の人事査定を行った経験からすれば、ノウハウがある=ある仕事を経験しただけでしかない方は、ノウハウを持っていない。ノウハウは具体的なことを経験した上で、一般化されて知識になっていなければならないそして、そのノウハウを積極的に他者に語らなければならない。自らの内に閉じ込めていては、社会に貢献できない。
 つまり、何かを解決することができたならば、その過程で、いくつかの問題や壁に直面したはずである。その時に、どのように考えて、解決してきたかを他者に伝達することが大事である。この問題解決力が成果の次に評価されなければならない。どんな難しい問題を解決できたのかを知らなけれならない。ノウハウは、このようなプロセスを経て、更に洗練されたノウハウに昇華される。ものの本を読んだだけでは、知識を知っただけでしかなく、ノウハウになるには実行して初めて、それは獲得できることなのである。実務に踏み込んでいかない管理者、現場を見ない管理者では、このようなノウハウの進化を進める事はできない。

知識の共有化はマネージャの仕事。積極的に共有する風土が必要となる。


 さて、これらのノウハウを伝えるには、できるだけ考えたことや文書を保存しながら仕事を進めるのが良い。プロジェクトが終わってからの振り返りでは、脳裏から経験したことの多くが忘れられてしまうからだ。毎日、何らかの事を考えて、人とも会い、現場を見て仕事をするのであるから、それらを途中で良いので状態を記録し、次は何をすべきかを付け加えながら進めるべきだ。例えば1週間経過して、その週の振り返りを行い、反省点を加えて、次回はこのようにすべきだをメモしておくことだ。この中に自分では解決できない従来からの課題や社会の変化により考え方を見直すべき点を刻み込むようにする。このように仕事を行えば、しぜんと協調性が育ち、リーダーシップも発揮しやすくなるはずだ。

派遣社員、ゲストエンジニアにも知識を共有することが必要である。

一方、もう30年くらい経過したことの1つに派遣社員が企業の戦力となっていることがあげられる。その質的な変化は、昔は定型的な工数消費的な仕事であったが、今では、設計や企画など、アイデアまでも外部依存している。ここまでの外部依存が常態化すると、正社員には管理業務くらいしかなくなってしまう。本当にこれで良いのだろうか?派遣社員の方がやられた仕事もノウハウを蓄積するシステムに共有されなければならない。このようなことが企業で行われていないならば残念なことである。

 他者にノウハウを伝達するには、このような仕事のプロセスに入り込んで細部を説明する必要がある。その時に文書だけでなく、図や動画を用いて説明しないと誤解が生まれやすい。文書や図や動画を関係付けて適切な順序で、伝えたい事を説明できるコンテンツを保有しなければならない。そして、仕事の中で起こった問題点とその対策も説明し、コンテンツに記載された事柄のWhyを伝達するように修正されていかなければ企業の生きているノウハウは洗練されない。

知識の共有化とセキュリティが担保できる情報システムを構築しなければ、製造業の生産性を向上しない。

知識の記録をすることで教育から学ぶ方法へ。ビックデータ活用時代の教育のあり方を考えたい。

教科書はもういらない時代へ

教科書を読んだだけでは理解されないことがある。人に聞いてもわからないことがある。人それぞれに理解の深さが異なるものである。学校では知識を教科書から得る授業が主体であるからだ。学びの方法は、この経験を通して個々人が身につけていくことになっている。学びの方法を身につけられていないことは、現代社会においては調和的建設的な生き方が難しいのではと考えている。
 リテラシーという言葉が使われる時代になった。新しく出現した概念やものについての理解や知識があること言うが、社会人となってから出現してきたことに、どのようにリテラシーを身につけていけば良いのだろうか。それは知的好奇心を持ち続けるしか動機づけはない。今、従事している仕事のはリテラシーという部分が存在していないこともあるだろう。世の中の情報を自分の動機づけを維持しながら興味関心を維持する事は容易な事ではない。ノーベル賞を受賞した方々は、きっとライフワークとして研究をされたはずだ。
 しかし、そのような研究的なことをリテラシーとは言わない。これから普通の常識として広がっていくもの事に対する、平均点に到達していない知識不足のことだ。私はリテラシーという単語が好きではない。今、世の中で使われているITリテラシーは、単にパソコンが操作できることの程度の使い方である。そんなことをわざわざあかるかどうかを横文字でいう必要はない。横文字にして、あたかも新概念であるかのように思わせて誤魔化されていないだろうか?
 操作の方法を知ったところで、それは作業方法を知っただけで、考えることがうまくなったこととは程遠い。学校での教育も、考える授業であるべきだ。考え方はいくつもあり、正解がない、あるいは、いくつもの解き方があるということを知り、その思考過程の中で、学びとは何か、学び方を身につけて欲しいものだ。きっとこの姿勢は永遠に続けられるしかない。学ぶ対象は宇宙のように膨大で膨張していくのであるから。

学び方を発見する教育へ

 子供の頃から、知識と学びは違うことであるを教えないといけない。頭でっかちと呼ばれる人は知識はあるが、自分で考えることのできない人のことをいう。現代社会において、この頭でっかちの火星人が増えているように思う。具体的な事象の上に学びが得られるはずが、事象を読んだだけでは分かった気になるのでは困る。インターネットにある文書をコピペして、いかにも自分の考えたことだと報告する社員がいる。インターネットの無い時代では、それはできなかった。ITリテラシーはあるが、何か大切な教育が欠けているのでは無いかと思う。

 学校教育にパソコンが入っている。学びという点でそのコンテンツは単に本のデジタル化に留まっていないだろうか?これはまた同じ頭でっかちを作ろうとしているのではないか?教科書を読んでも学びが得られない。このことに対する対策がパソコンを用いた教育の中で行われなければならない。このように問題意識をもって学習教材を考えている。

特徴点記録法により知識を自由に獲得できる21世紀の教科書を作りたい。

教育は事例の理解をたくさん行い、関連する事例に展開できる機能が必要である。それは、検索に依存する探すことを行う必要のないやり方でなければ、思考がそがれてしまう。知りたいと思えば、どんどんと広がっていくことのできる機能が必要である。習得する順番は規程されていても、その範囲は自由に広げられるようになっているべきだと思う。
 このようなことを実現しようとするならば、単に本をデジタル化しただけでは不可能であることは自明である。その中で何を思い、どのように考えたかを書き込む機能が必要である。そして、そのことを他者と共有して、同じ知的好奇心をもつ人達と議論ができる機能が必要である。これらの為には、お互いに知っていることを参照登録でき、その結果が絵本のように表示されなければならない。このような機能を実現する際にも、特徴点記述法は有効である。そして何人も同じ知識獲得の環境を平等に享受できなければならない。

知識の記録ができる方法の説明はこちらから。

製造業のデザインレビューの目的は潜在的問題点を顕在化し、関係組織にて解決し経営指標を高めることにある。

サプライチェーンの中の潜在的問題点の顕在化

仕事は問題と対策の繰返しである。計画通りに進まないのが当たり前。しかし、同じ間違いを繰り返す事は避けたい。デザインレビューを例に問題点管理の重要性と知識の記録との関係を説明する。
 デザインレビューで気づいたことは、その対象である設計図面のイメージ図に特徴点記録方式によって記録する。例えば、部品と部品との隙間を設計者は1mm で図面を作成したとしよう。2つの部品は、板厚0.7mmのプレス品としよう。さて、生産側はこの隙間を適切な寸法と考えるかどうかという視点が必要だ。それには、設計として1mmの隙間をどの位の公差で製品化したいのかを確認する必要がある。仮に、1±0.5mmなら、生産側は、バラツキをこの公差内に抑えることができるかどうかという判断が必要になる。
 生産側はどのような加工法を現在行なっているのかを知っていないといけない。更に、その加工法における工程能力も把握していないといけない。知っているからこそ、問題だと言えるのである。
 このように、ものづくりのサプライチェーンの中には、膨大なものづくりの知識が存在している。その加工工程を知っているのかどうかはデザインレビューにおける気づきの有無に影響する。ものづくりの知識は現場での体験によって記憶に留められるものだ。座学では、感覚は身につかない。しかし、全ての人がサプライチェーンの中の全ての現場を体験できることなど不可能である。会社も組織も機能分担されているために、そのような体験ができる事はあり得ないことである。

デザインレビューを通じて周知を結集し、経験を共有することができる


 そこでどのように擬似体験を行うことができるかを考える必要がでてくる。人は成長してながら、後任にバトンを渡さないと社会は成長していかない。これまでバトンを渡さない企業を何社も見てきたが、すべからく進歩の無い硬直化した組織であった。
 人は突然と何かを思い出して生きているように思う。それは新聞を読んでいたり、小説を読んでいる時や、絵画を眺めているとき、遠くを見ているとき、人にあった時、などいろいろな場面で起こりうる。その時には、目に見えた絵と結合しているように思う。だから、嗚呼、どこかで見たなあ、あの人とそうだ鈴木さんと、渋谷の駅でばったりと会って、懐かしい学生時代の部活の話をしたなあ、嗚呼、そうだ今、中村くんはどうしているかな?など、芋づるのように思い出が湧き上がってくることがある。この状態を知識の繭の糸を紡ぐと表現している。
 製品の図面を見ても、嗚呼、あんな失敗をして生産が品質不安定で苦労したなあ、、と問題点と対策が繭の糸を紡ぐように脳裏に浮かび上ってきて欲しいのである。

問題点は膨張するビックデータである。真っ先にDXで取り組むべきシステム化。


 このようにするには、図面と一体に問題点を記録するビジュアルな方法が周辺の部品の関係などからも、過去の記憶を呼び出せる。そして、そのような失敗を問題点として皆が記録すれば、他者の失敗にも具体的なこととして、理解でき記憶に留めることができようになる。失敗を個人の記録として解決できたら一件落着とするのではなく、未来のバトン渡しのために、発生した問題点をその失敗事例のイメージ図の中に記録させるckweb2 による問題点管理はマネジャーの役割だと考える。