デザインレビューは企業の技術判断のレベルを顕在化させる
デザインレビューはものづくり企業では一般的な取組みである。製品を開発する場面で用いられることが多いが、それ以外でも、設計とで製造着手の前に行われることも多い。今回は、製品設計の場面での知識の記録方式について記述する。
製品設計図をデザインレビューする目的は、機能、品質、原価、デザイン、販売、サービスなど企業の多くの組織に存在する。その中でも、やはり生産側のニーズが大きい。どんな図面を描いても製造することができないようではどうにもならない。したがって、設計構想などの手戻りの少ない段階でのデザインレビューが有効である。図面が完成した段階ではデザインレビューの意味が無い。試作図という段階を持つ製品の場合は、当然、試作図が完成する前で行う必要がある。デザインレビューの失敗は、設計側の情報の出し惜しみと生産側の作る技術の曖昧さ、設計と生産との組織的信頼関係の無さによることが多い。
設計と生産部門の技術知識の相互理解がデザインレビューを成功に導く
生産側の立場では、デザインレビューをし初めて直面することがある。それは設計図を見て何を発言すべきか、その意見は正しいのであろうか、設計者に折角の図面を修正してもらう意味のある提案なのだろうかということに不安を持つはずだ。この仕事はベテランでなければ務まらないもので、生産の知識が不足している年上の管理者では遂行できない業務だと思う。
設計者は創造性を発揮して、製品機能を中心に検討し図面を描く。出図日程も原価目標も決まっている。時間との戦いの中にいる。一方、生産側は鋳造、鍛造、機械加工、塗装、溶接、組立などものづくりを素材から完成までのエンジニアリングを少なくともその製品について短期間に広い範囲で検討しなければならない。
まず、限られた期間の中で、生産側の安全、品質、コストに関する確認を終え、更に、その対策案を具体的に提示しなければいけない。従来は、そのやり方はチーム内でそれぞれが紙にリスト化したものを、重複、提案、却下、保留などに分ける。保留とはチーム内で合意できなかった事で、事実の確認などを生産現場で行うものである。これらを、整理した上で設計者と打ち合わせを行うのである。このようにデザインレビューは、意見調整、事例の調査、日程調整、対立意見の調整など、人のコミュニケーションを必要とする多くの工数がかかる方法であった。
デザインレビューと技術知識の共有は車の両輪である
この仕事はckweb2 に最適で、チームが同じ図(イメージ図)に特徴点を書き込むだけである。これにより重複は未然に防止できる。また、他者の意見も画面に見えるために、その場で調整が可能となる。チームで合意したデータは設計者に開放し、打ち合わせの前に図を見ながら理解してもらう。その結果をckweb2 にイメージ図の中に特徴点記録する。すると、個人が保有していた知識が記録され、他者の知識を共有できるようになるのである。テレワーク、海外とのデザインレビューにも最適だ。