DX推進の壁になっている製造業のアウトソーシングを見直すべき。

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製造業のアウトソーシングは拡大している

企業のアウトソーシングは企業の成長と共に増える傾向にある。これは生産量の拡大などにより、社内の正規社員を増やすのではなく、外部の派遣企業などを活用し、一時的な業務負荷への対応をするためである。或いは、費用が相対的に少ない社外を利用することで、利益を増加さえるために行われている。

アウトソーシングの問題点

しかし、アウトソーシングにおける問題点は企業のコア技術を社内に残すことができず、生産量の縮小などで再度、社内でその業務を実施する必要があるときに、コア技術が失われ、社内では実施することができない問題を起こすことになる。(技術の喪失)。もう1つの問題点は企業が面倒な業務をアウトソーシングすることで、企業内に業務を管理するだけの社員が増加し、管理業務を仕事と勘違いしてしまうことである。(風土の荒廃)

ものづくりのコア・コンピタンスを忘れてはいけない

今、この2つの問題点で製造業は大変な状態になってしまっているのではないかと推察している。前者のコア技術の社外化から問題の深刻さを挙げると、まず、コア技術(コア・コンピタンス)そのものを意識せずに仕事が大変だから、人が不足しているので社外化していることが多い。コア技術とはものづくりの作り方そのものの技術だけではない。エンジニアはかつて現場の場数を踏んで成長してきたはずである。 

製造業の人材育成と職場環境

しかし、今の時代、新入社員のエンジニアは、いきなり社外の人が活用された状態にある職場環境から仕事を覚えていくしかない。それも自分の仕事は細部化し、与えられた時間の少ない中で業務を進めていくしかない。これは与える側(管理者)の仕事の与え方の問題もある。じっくり考えて仕事を遂行する習慣を身に付けるリードタイムが社員の育成には必要なのである。

考える人材を開発しなければならない。教えられてこなかった教育。

また、インターネットにより、分からないこと、知らなかったことも、短時間に収集することができる。収集した図や文言を引用し、仕事の成果にしてすませることもできる。探すことには長けてはいるが、考える力が身につかない方法である。

現場の見て、頭で考える習慣をつけること

かつてのエンジニア達は工場の現場で物を手にし、油にまみれながら、何故を考え、自分の結論に至り、その結果を、議論することで、更に自分の知識を深めていくことが業務の中で行うことができた。このことは、今でもできない事にはなっていない、できる環境は何も変わっていない。

現場の調査はコア・コンピタンスの重要な業務である。

しかし、現場に足を運ぶ回数が減っているのはどこに原因があるのだろうか。それは、現場の調査は時間と手間がかかるから、社外化していることにも原因がある。他の部署では同じようなことを社外を活用し実施していることを知ると、自分の部署でも同様なことに社外活用を実施したことに思い当たるはずだ。

忙しいと言う職場は忙しくない。それはアウトソーシングしているからだ。

忙しい組織(実は皆忙しいと思うことが多く、暇だと思うことは段々と習慣化し、いつも忙しいと思うように人は考えやすいものだ)はまず、何から効率化すること言えば、現場の調査、あるいは事例の整理などを社外化するはずだ。

効率化とアウトソーシングは逆行している。

効率化とは人が減る方策をまず考えることが先であるのに、生産量の拡大時は、社外化を先に選択してしまったことが多い。実は、この時間がかかり、手間のかかる仕事こそが企業に重要なコア・コンピタンスが含まれていることと管理者は気づくべきである。

経験の積み重ね。面倒なことを避けては技術は身につかない。

振り返るに、人の仕事とは何か。人は全く新しいこと、物に気づき、生み出すことは稀である。それこそ天才と言われた歴史に名を残す賢人以外は、過去の経験や知識をよりどころにして、業務を行っているはずである。手続きや判断が標準化されているものであれば、容易に業務が遂行できる。標準化されていないものであっても、過去の経験や周辺の関係者の知識をまとめて、1つの結論に至っているのである。

考える仕事は内製に戻すべき

コア・コンピタンスは標準化されていないことや物に行き当たった時に、どのように判断をするかという仕事として位置づけられる重要な固有能力である。もし、仮にこのような判断も含めて社外化した業務があるならば、早期に内製化すべきである。


 企業においては、物事を判断する行為や力そのものが企業の能力であり、財産であるはずだ。その一部を社外化してしまっては、もはや企業の能力を社外に分け与えてしまうだけではなく、社外の力を活用しなければ、その業務が行えないことになってしまう。


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