デジタルトランスフォーメーションを推進して、ものづくりの無駄、仕事の無駄、システムの無駄をなくす

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トヨタ生産方式の無駄概念

トヨタ生産方式はムダの徹底的排除の考え方に基づき、造り方の合理性を追求し構築されたシステムである。これの柱は2つ。ジャストインタイムと自働化である。物を造る場合の理想的な状態は機械、設備、人などが無駄なく付加価値を高める仕事をしていることにある。この理想状態を実現するために、各工程、工場などにおいていろいろな手法を研究したものがジャストインタイムである。ジャストインタイムは必要なときに必要なものを必要なだけ各工程に供給することである。

 もう一つの柱は自働化である。スイッチを押せば自働で動く機械は多い。近年の設備は高性能になり、高速化している。なにかちょっとした異常が起きた時に、スクラップづまりをおこしたり、タップ破損で不良が出始めると,多くの不良の山をすぐ築いてしまう。

不良品をつくることは働いたことにもならないし、また、仕事をしたとも言えない。単に動いただけである。ニンベンのある自働化が強調されるのは、機械に良し悪しの判断をさせる装置をくみこんであることが必要という考え方。この良否を判断するために標準作業を定義し、これにあてはまらない時には欄を止めるということ。

管理者はすぐその原因を直し、改善し標準作業のなかに組み込む。これを繰り返すことで、良い製品が安く造れると考えたのである。一人の管理者が多くの自働機を管理下において運営するには、普段から目で見てわかるようにしておかねばならない。ここに目で見る管理の考え方が生まれる。

トヨタ生産方式はトヨタ自動車様のホームページをご覧ください

情報システムも人が減らなければ価値はない

 情報システムは本来、人間の思考を助ける為にある。いろいろな情報システムに接してみると本当に効果があるのか怪しいことがある。
情報システムは効率化にならないといけない。質の向上と言う効果で終わらせることは出来ないと思う。

そもそも、ある質を確保する為の投入工数があり、そこにシステムを導入するのであるから、その工数は減らないといけない。更に、質をレベルアップするには、もっと多くの工数をかけなければならないので、もっと大きな工数低減になっているはずである。しかし、この見込みの質向上と見込みの投入工数はマネージメントには了解されにくい。


 事実、現在の人員を減らしたいのであるから、今の仕事を何人でやれるようになるのかが重要である。
 1つのケースを考えてみよう。社員一人一人が勤務時間を紙に記録していたとする。それぞれの勤務時間は会社の規定に当てはまって勤務する必要がある。紙に毎日勤務時間を記入するのに必要な時間はきっと1分もあれば十分である。しかし、あるとき、管理部門が情報システムを構築した。そのシステムに毎日勤務時間入力をすることになった。この時、管理部門は、部署別の残業推移などや勤務ルールに一致しているかをチェックするためにこのシステムを導入した。


 しかし、そのシステムの仕組みがあまりよくないので、入力に5分かかってしまう。1000人の会社であれば、無駄な時間が4000分、つまり67時間/日の損失である。言い換えれば定時勤務の 8人の従業員をムダにしているのである。管理部門が5人で実施して仕事ならば、このシステムはむだを発生するシステムである。 
 
 しかし、入力を工夫することにより、30秒で実施できるならば効率的なシステムである。このように、多くのシステムにおいて、入力の時間をよく吟味する必要があるということだ。入力工数は情報システムにおいて無駄だと思わないといけない。情報システムの本質は人間の思考を短縮化することなのだから。情報システムは遠隔地のデータを簡単に取得できることと、もう一つは多くの人達とデータ共有できるメリットがある。

 多くの人の手間をどのように解決できるかを十分にシステムエンジニアは検討すべきである。情報システムの外部仕様は必ず、ユーザの活用する画面設計から着手するようにしている。このように進めると、どのようにデータをいれるのか、どんなデータでなにをどのように見たいかなど、自然とユーザは考えるようになる。そして当然、そのシステムの目的などもクリアになっていく。

 SEはユーザに提案することも大切であるが、後の運用を考えるとどれだけ,ユーザに考えさすかである。少しづつ、自分の持っている方向にユーザを誘導できるくらいの洞察力と緻密さを持たねばならない。そうでなければ、日本の生産性は向上しないだろう。


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