首里城のデジタル復元のTVを見た。この城はこれまでにも戦争などで何回も焼失してきた事を初めて知った。この重要な建築物を復元したことのある経験者が健在で本当に良かったと思う。
焼け残った物から分かる真実もあるが、多くが、写真や文書などを頼りにせざるを得ないとの事であった。漆の繊細な装飾模様も、写真から観察し、製作の工法を推定するという復元方法とのこと。
写真さえ残っていれば何とかなる物だと思ったが、屋内の間取りや柱の位置が写真だけでは分からない問題が発生した。たまたま、資料館に間取り図があり、加えて塗装色やその描き方、柱ピッチまで記載されていた事により復元のための設計ができた。写真だけでは不十分だと分かった。
漆の装飾も屋内の間取りの復元も、その技法や詳細図が無かったら、どんなに困難であったろうかと考え、今日のデジタル化の時代では、このような文書による製造プロセスの記録がどのようになされているかが心配になる。そもそも、CADなどで設計作図されているから大丈夫ということなのだろか。
それだけでは不十分だろう。見て分かる事だけしか分からない。寸法は見れば分かる。なぜ、その寸法にしたのかは分からない。デジタルになっても、背景や意図、どのような加工法であるかなどは、そのつもりでないと記録されないだろう。
更に、デジタルになった場合には、その設計図などは、どこに保存されるのだろうか?会社のサーバとなってしまうと思う。昔ならば、何冊かが印刷されて、その一部がどこか別々に保存され、それを探し出して、重要なものは資料館に保存されたのである。
デジタルになったら、どのように公的な保管場所に保存するかを決めておかないといけない様に思う。また、保存には、意図や背景が分かる文書データも一緒に提出するように規定すべきだと思う。元のデジタルデータが消去された場合には、万が一の場合は大変困る事になるのではと老婆心ながら思った。