これからは誰でも、どこでも働けるものづくりをする必要があります。
誰でもとは老若男女、ハンディキャップのある人も、外国の人もです。
残念ながら日本の企業は、このようになっていないと思います。
まず、法律上の制限は別として、ほとんど仕事や作業は立ち姿勢が多いですね。
その方が、動く動作が速くできるという観点からそのように立ち姿勢が多く採用されています。
これからは、例えば作業の生産性より作業環境を一番にする必要があります。
いかに、楽に作業ができるかという観点で、作業環境を見直すべきと思います。
直接作業工数の削減に大きな重点を置いてきましたが、これからは人間らしさを求められるでしょう。
その上で、生産性を維持すれば良いのです。直接作業工数のコストは製品原価の僅かな比率でしかないからです。
生産性のために、品質や作業安全が2番手になっている企業もあるようです。
人の生活の場としての職場の作業環境を良くすることは、その企業の社員に対する接し方を表しています。
特に設備を多く保有して製品を作っている企業は、作業環境を改善するには大きな投資が必要となるでしょう。
作業環境はその製品の設計構造と、それに対する設備の仕様に大きく関係しています。
作業環境を改善したいと思うと、多くは製品の設計構造を修正しなければいけません。
その際に、2番目に位置付けた生産性(含むコスト)を下げるアイデアを考えれば良いのです。
考える優先順序を逆転すると、全く異なるアイデアが発想できるようになります。
大事なことは、物事を決める優先順位は正しいかと問うことです。
その優先順位は、これからの未来を見据えた順位になっているかどうかです。
日本のものづくりは生産性という個別問題にこれまで取り組んできました。
しかし、その陰で失っていることが安全と品質では無いでしょうか?
今一度、生産性向上だけの現場運営が本当に正しいのかどうかを考え直すことが必要と思います。