製造業の品質管理はデジタルトランスフォーメーションのテーマの一つである。

品質管理には主に設計、生産、検査、品証が相互に機能している必要があります。

それは当然、そのようにやっていると皆さんは言うでしょうね。

本当にやっていると胸を叩いて言えるでしょうか?

 製品を設計販売している企業を例にして、ポイントとなる10点を下記に紹介します。

①品質の問題発生懸念は、製品開発の段階から始まっているので、発生する問題を予測列挙し記録している。

②開発時のこのような不安が共有されている。

③共有された不安をキチンと解決してから生産を行なっている。

④生産中に発生した問題は、生産を止めて対策をしている。

⑤発生した問題の真因を突き止め本質的対策を行なっている。

⑥本質的対策の結果を期間や頻度を決め、対策の効果確認を共有している。

⑦問題が残っている状態で製品を出荷販売していない。

⑧市場の問題に迅速に真摯に対応し、適切な情報を社会に提供している。

⑨生産工程とお客様からの問題点を社内で共有して、製品開発時に、未然防止対策の織り込み確認を行なっている。

⑩安全についで、品質を企業の重要管理に位置付けて、隠蔽できない管理の仕組みができている。

 どうでしょうか?上記の10ポイントが自信を持ってできていると言える企業はないのではと思います。

 コスト競争の陰で、品質をいつのまにか犠牲にしていないことを祈るばかりです。

 このように品質管理には設計から生産そして市場問題における構造や現象などの幅広いが必要になります。

 そこで、このような知識の記録をどのようにすべきかの検討が必要となります。デジタルトランスフォーメーションとして取組むには一番技術的にも良いテーマだと言えます。

製造業のデジタルとランスフォーメーションは人間性尊重のものづくりIT革命を考えて進めること

日本のものづくりは、約40年前から海外に工場を建てて、海外生産を始めました。現地で必要な製品を生産することに地産地消とグローバル化を進めてきました。

 しかし、市場のニーズは世界経済や企業間競争により販売量は大きく変動する環境下に入っています。

 海外の工場立地の場所と、そこから輸出する国との関係において、海外の複数の工場運営は、より複雑なオペレーションと全体的な意思決定が必要となっています。

 例えば自動車は北米が主たる消費国でありましたが、今日では中国が一番の消費国に変化しています。

 大きな部品サプライチェーンである自動車の生産を、どこにシフトさせていくかは、重大なる意思決定となっています。

 さて、このようにグローバル展開した製品は、当然ながら現地の人材育成も必要であり、結果として現地資本の競業他社を産み出すことにもなります。

 海外に進出して、その同じ国に一体どのくらいの長期間にわたり競争優位を維持できるでしょうか?いずれ対等な能力になり競争相手になることと思います。

 どの国でも、自国の企業を優位にしたいのは共通であると思います。となると、いつかは撤退することになるのではないでしょうか?

 ものづくりの強さをもっと大きな競争力と言えるようにならなければ追いつかれてしまうことになるでしょう。

 何億年前から進化が止まっていると言われるオームガイになっていないでしょうか?

 日本的なものづくり手法は、既にグローバルに真似をされていると思います。それは日本人がグローバルに展開してきたのですから。

 このことが良くないと思っているのではなく、日本的ものづくりが進化していないことを危惧しているのです。

 日本的ものづくりの基本は、お互い様とか人間性尊重とか、心の文化ではないでしょうか?

 これらを失うことなく、近代的ものづくりを発想していく必要があると思います。

 賃金が安い、コストが低いだけで海外生産を決定していた時代はもう終わりではないでしょうか?

 日本人にしかできないものづくりの運営生産技術というものがあって然るべきだと思っています。

 自動車も電気自動車になり、低炭素社会を目指すことになるのですから、既に、既存の工場をどうするのか、新たな事業は何かにすべきか、など日本のおかれた条件の中で考えるべき時が来ました。それも、ここ1、2年で。

 高齢化、人手不足、変化する自然、地震のリスク、平野部への人口集中、終身雇用の縮小、個人事業者の増加、転職の増大、貿易ルールの変化などなどを挙げると、日本として独自に考えるべきことが多いと思います。海外に参考にできる国は無いのです。

 言うならば、「人間性尊重ものづくりIT革命」ではないでしょうか?誰でもどこでも働ける、負担の無い、高度にIT技術を利用、人が行うべきこととITや機械が行うべきことの明確な区別が共有された社会に向かって進んで欲しいものです。製造業の超えるべき課題は多く、多面的な対策を同時期に打たなければいけない。

自社のDXシステムは内製で構築すべきと考える理由とは

テレワークの要請が改めて企業に出された。テレワークができない仕事もあるが、テレワークを行える企業とそうでない企業があるからが問題である。

 そもそも、企業の中の業務プロセスが個人の責任が大きいのか、それともチームでの推進が大きいかにもよる。チームでの業務推進はIT環境の共有度にもよる。もう一つは、企業のITセキュリティポリシーの違いにもよる。

 日本の労働生産性の低さとIT活用度の低さには大きな関係性がある。共に人の仕事の効率性を指摘されているのである。

 約30年、企業の内外で業務改革を推進してきた経験から述べれば、企業内におけるIT組織の力が弱いことがあげられる。

 もう一つは、ユーザーとなる人達も業務改革意識が低いことがあげられる。

 ITを使って、業務改革をするんだという意識が足らず、活動が低迷している様に感じられた。経営陣も牽引者が明確でないこともあった。

 このような中で、企業は外部のシステム会社に、要件定義まで丸投げすることが継続し、それにて売上を得る業態ができてしまった。それも建築のゼネコンではないが、ITの下請け構造が階層化し、知識が分散化してしまった状況になっている。

  企業の業務改革は自らの手で改革の方策を決めるのが当然であり、外部への依頼は余程の専門的な外部知識以外は必要の無いはずである。

 どうも、30年前くらいから、企業が企業自身が行うべきことを安易に外部依存している様に思う。考えることを放棄している様にも見えることが多かった。

 このようなことから、企業の中に業務改革意識を持つ管理者や次世代を担う若者が育ってこなかったことが業務の生産性とIT活用が遅れている要因である。

 ITの知識獲得も外部から把握するスタイルであり、企業自らIT情報を獲得に歩くことも少ないようである。IT投資は大半が人件費である。構築済みのシステムの分からないことを分かるまで把握するには、もはや不可能に近い工数がかかることになる。

 社内のシステムを構築した知識ある企業に外部依存した方が、相対的にコストは低くなる関係性になってしまっている。

 一方で、システム企業は社員の転職が大変多いのである。特定の企業のシステムを経験した人が他のシステム企業に籍を変えるのは、システム企業も特定企業のシステム知識も貧弱になっていくのは当然である。

 となれば、システムを改造するにも、期間が長くなり、不具合の可能性も高まり、結果的に費用が増大することになる。

 このような状況の中で、ITを活用して効率化することは、そもそも費用対効果を考えた場合にIT投資そのものが削減されることにもなるのである。或いは、システム会社もリスクがあり受注したくない案件も出てくる。

 今後は自社のシステム構築は自社内で可能にする方向に進めていくべきではないかと考えている。

製造業の在庫過多は工程設計力の不足と思えるかが重要。

ものづくりの企業コンサルタントとものづくり業務向け情報システム企画提案と独自の情報システム開発販売をこれまで行なってきた。この中で、学んだことやわかったことを紹介します。

 その中で、在庫削減の依頼も多くあった。それも在庫管理システムを稼働させながら、在庫が減らないという話が多い。一瞬、あれっと思うのは私だけではあるまい。在庫の数を数える機能しかなく、在庫削減の仕事は人間が着眼点を見つけて行なっているのである。

 そもそも、コンピュータに登録されているデータは正しいのかという質問を投げかけると、残念ながら、不安な表情をするだけであった。販売見込みに対して、発注し、部品や素材を受入し、倉庫に保管、生産工程に運搬、次の工程に運搬、検査、手直し、出荷、搬出場へ運搬といった流れで製品を生産しているのが基本である。

 仮に、以上の流れが一つの工場内で行われているとしよう。工場内に、いつ、どの場所に、いくつ、どんな部品や材料があったのかを知る必要がある。しかし、それを把握できる仕組みは備わっていないことが多い。それも、加工を通じて2つの部品が1つになることもあるだろう。

 このようなことはすぐに不可能であるために、定点観測して在庫数をカウントしている。ある1日の稼働終了後、工場に入った部品数と出荷した製品数とから、部品表を元にして、製品に使われた部品の数を計算する。工場に納入されたそれぞれの部品数とこれらを部品単位に比較すると、製品になっていない仕掛り部品数が求められる。

 これらの仕掛り部品は、加工機にセットされているものもあれば、その前後の搬送、運搬設備の上に載っているものもある。また、機械の横で、人がハンドリングする台の上に載っていたり、その前にパレットなどに入れられて、使用を待っている部品がある。更に、その加工ラインから離れて場所に、一時的に部品が置かれていたり、倉庫の棚に入っているものもある。

 このようなものを仮に、仕掛り在庫と呼ぶとして、この工場には日当たりどのような頻度で部品が納入されてくるかを知らなければならない。部品によっては納入ロットサイズや納入頻度も納入量も異なるものである。

 すると翌日1日分を生産するために必要な部品別の必要量から、仕掛り在庫を減算し、更に1日分の納入予定数を減算した結果が余分な仕掛り在庫数になる。

 日当たりの生産量にもよるが、生産量が多ければ多いほど、上記のような計算ができなくなるのである。それは、工場が広く毎日、稼働終了後に部品全点の仕掛り在庫を歩き回って調査することはできないからである。

 できないから、調査をしないと言う事であるならば、なぜ在庫削減をしたいと思ったのだろうか。売り上げにすぐにならない部品や材料を購入してキャッシュアウトが目立つからだ。

その仕掛り在庫が数日で減るのか増えるのかも不安な販売予測の不確かさもある。一方で、在庫を抱えて過ぎていては心配である。スリムな体質での生産が必要だと思うのである。

 在庫はいろいろな要素から発生する。仕掛り在庫の発生場所で、それぞれ、計画のミス、実行上のミス、加工の不良、納入時の部品不良、手直し時の交換、無駄な生産ライン上のバッファ、欠品による生産計画の修正による保留品などである。

 これらの仕掛り在庫を把握するには、その時に理由を知る必要がある。その理由を知ると、更になぜそのようなことが起こるのかという疑問が湧く。その疑問は、結局は、直接、ものの加工を行う現場にではなく、そもそも製品の設計や設備の計画や販売に対する生産計画の問題になるのである。

 ここまでの追及をすることなく、在庫が多いという問題を現場だけで解決しようとしても無駄である。となると在庫管理システムは一体どのような方向に進むべきかが分かると思う。在庫管理とは、結果の数を数えるものではない。


もっと、ものづくりの全ての知識を集合して、コントロールできるようにならなければならない。結局はものづくりの工程設計力によるものだ。

製造業の継続的な問題解決マネージメントの必要性とは

製品の構造と生産の効率性の間に解決の難しい長年の課題というものがある。設計が構造を考える限界と生産が工程を創造する限界が共に接点を持つポイントまで到達していない課題がある。

 製品によって、そのような課題が無いものもあるだろう。しかし、どの様なレベルのことに着目しているかにもよる。このレベルが、異なっていることを理解すべきだと思う。

 製品とユーザーとの間にも同様な課題がある。ユーザーからは、もっとこのようにして欲しい事に対して、設計の標準やコスト、性能の考え方とぶつかることがある。

 このような長年の課題となっていることを解決しようと考え続けていれば、いつか、その解決策が生まれて対策できるようになるものだ。

 イノベーションと言われながらも、イノベーションが行われないのは、そもそも、長年の課題を持っていないことによるのでは無いだろうか。

 いきなり、世の中の課題を解決する製品やサービスを立ち上げようとしても、その思考訓練と実現の基本技術を保有できていないので、どのように進めて良いのかで困ってしまうことになる。

 ブレーンストーミングさえ、自分の会社でやるべきことか?やることができるだろうかとのバイアスが掛かっていて、結論に至らないこともあるだろう。

 長年の課題を解決する際に、発明や新技術の発見がある。最近の製品開発を眺めていると、欧米の二番煎じが多くある。にも関わらず、欧米が日本の真似をしている製品はあるのだろうか?

 ものやサービスを実現するスピードは大きな投資を行う欧米にはかなわないだろう。これではイノベーションも遅れてしまう。安全や安定思考の経営では尖った製品やサービスは実現が難しい。既に多くの顧客を持ち、そのビジネスに集中する方針であれば、それも良い。

 ビジネスを変えたいと思うならば、社員も経営陣も頭を切り替えなければいけない。我慢が必要だと思う。それには、変えたいビジネスは何であり、なぜそれが重要なのかを突き詰められていなければ継続しない。将来の事業にしようということと、面白いからやってみるかということとは大きく違う。

 日頃から、考えたことをメモして、考えを成長させて、外部の情報と組み合わせて、そして考えたことをメモをするという、考えたことの蓄積が論理的に重要性を説明できる事業アイデアに帰着するものと思う。ふと浮かんだだけのピッチがうまいだけではその後は続かない。残念ながら、企業の中ではこのようにメモの蓄積が重要視されていない。