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【製造業の改善と革新の会】

木曜メールマガジン

”原理からのDX”を語る

元トヨタ業務改革室長

#006

10月のテーマ
【改善の必要性】

今では、製造業だけではなくあらゆる仕事の中で用いられるKAIZEN 改善の基本的な価値についてです。

今後の配信予定

1、改善はなぜ必要なのか。

2、改善ネタの発見の思考方法

3、なぜなぜが必要なケース

4、改善が上手く進まない理由

5、基礎的社員教育のあり方  

6、改革へ向かう人材開発とは.   今回

【改革へ向かう人材開発とは】

改善だけでは物足りない。弊社は改革、あるいは革新を進めなければいけないと言う声が聞こえています。DX推進のインターネット記事などもあり、世の中は、革新や改革に向おうとしています。

 さて、改革や革新をどのように進めるのかとなると、課題は人材がいないということを挙げる企業は少なくありません。外部のコンサルに協力をお願いをしたとしても、汗をかいて実行する必要があるのは企業の社員です。そもそも、外部に改革や革新を全て任せるようなことではありません。

 では、なぜ、人材がいないという課題が多く聞かれるようになったのでしょうか?それは、イノベーション、IT技術、SNSの広がりで、情報の伝達がスピードアップし、広範囲に急拡大する時代になったからだと思います。多くの情報が耳に入るようになったのです。知らなくて良いことも含めてですが、今は、企業の活動にスピードがなければ、改革や革新に着手した時点で、すでに遅れていることも起こるからです。

新しい視点で、アイデアを考え、新製品やサービスを生み出す時のスピードアップは、初めの段階の視点とアイデア出しのスピードが重要です。ところが、このような能力を持つ人材は必要だと思っても、すぐに育成することができないのです。人材がいないと答える経営者が多くいらっしゃるのはこのような人材の不足を言っているのです。

そこで、今回は改革を行うことができる人材開発のやり方についてお話しします。

1、改善の経験を積むこと

改革を進めることができるためには、改善の経験を積む必要があります。たくさんの経験を積まなければ、問題を発見することすら難しいものです。今流に言えば、頭と心に改善のプログラムをインストールする必要があります。トヨタの改善は一人ひとりにこのプログラムをインストールする教育と実践の成果なのです。一朝一夕にはできることではないので、人材育成をじっくり行なっていく必要があります。そのように育成している人材が転職されたら大きな損失になります。それをどのように防止するのかという施策と人材育成の施策は共に行う必要があります。

2、改善の優先度を意識できること

改善を進める場合には、優先度の高い順から対策を進めていくことになります。 したがって、対策の効果確認を適切に行う必要があります。改善を行っている間でも新たな解決すべき問題が登場してきます。このような場合にはどちらを先に進めるべきかを優先度を評価して実施する必要があります。

それには、改善項目のリスト化、共有化が必要です。改善が他の改善とトレードオフの関係になっていることもあります。改善がうまく進まないのは、この関係を知らずに進めてしまうからです。トレードオフの関係がどのように存在しているのかを議論することは、その企業での価値判断を尖らせることに繋がり、曖昧な判断を明確化することになります。

社員は、このような組織間の価値判断の矛盾に不満を持つことで、ストレスを感じていきます。そのためには、リーダはこの点に敏感に気付き、手を打つことが必要になります。このような視点で企業の業務の価値判断ができるように育成する必要があります。

3、改善チームの中での改善の継承

改善チームは改善を通して改善の進め方やなぜなぜの思考法やアイディアの出し方を学んでいきます。この中で改善を引き継いでいける人を見抜き、育成し、改善への取り組みをバトンタッチさせていきます。一人の改善リーダが同じ改善対象を継続してはいけないのです。このことにより、活動が偏った思考により硬直化するからです。

残った対策案を粘り強く継続的に実施する必要には人を固定化するのではなく、将来を託す能力のある人にその後の改善をバトンタッチしていく必要があるのです。

このようにして、企業内に改善マンが多く育成されていきます。改善チームがそのチームメンバーの位置保全のためにだけ存在している企業も見受けられます。改善チームは成果で評価されるべきで、成果が出るように、新しい視点と行動のできる人を巻き込んで運営するべきです。

4、改善マンから課題解決者への育成

このような豊富な経験をつんだ改善マン及び問題解決者は、これから手を打つべき課題を想像できる能力を持っています

課題は企業を取り巻く外部環境と内部の状況や保有能力を評価しながら構想する必要があります。

この時、注意することは、構想することが現実離れしたこととして捉えられないことです。現場では、毎日、そこには業務が流れています。そこでの業務を俯瞰して見たときに共感できることになっているかが大切です。

単なる掛け声のような表現では、周囲がついていけないことになります。したがって、課題を考える者は問題解決をしてきた改善マンであり、更に本質的に思考を訓練されている必要があります。

世の中では、問題と課題と言う言葉が明確な定義をせずに用いられています。以上のように、問題と課題は全く異なることを対象としていることを理解するだけで、空虚な議論が層別でき、解決議論が集中できることになるでしょう。

良く言われるところの具体と抽象の行き来ができる課題解決者を育成することに人材開発関係の部署は注力すべきではないでしょうか?

11月からのテーマ
【過去トラの重要性と活用】

最後まで購読いただきましてありがとうございます。

過去トラの重要性と活用お話しします。

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