製造業のデジタルとランスフォーメーションは人間性尊重のものづくりIT革命を考えて進めること

日本のものづくりは、約40年前から海外に工場を建てて、海外生産を始めました。現地で必要な製品を生産することに地産地消とグローバル化を進めてきました。

 しかし、市場のニーズは世界経済や企業間競争により販売量は大きく変動する環境下に入っています。

 海外の工場立地の場所と、そこから輸出する国との関係において、海外の複数の工場運営は、より複雑なオペレーションと全体的な意思決定が必要となっています。

 例えば自動車は北米が主たる消費国でありましたが、今日では中国が一番の消費国に変化しています。

 大きな部品サプライチェーンである自動車の生産を、どこにシフトさせていくかは、重大なる意思決定となっています。

 さて、このようにグローバル展開した製品は、当然ながら現地の人材育成も必要であり、結果として現地資本の競業他社を産み出すことにもなります。

 海外に進出して、その同じ国に一体どのくらいの長期間にわたり競争優位を維持できるでしょうか?いずれ対等な能力になり競争相手になることと思います。

 どの国でも、自国の企業を優位にしたいのは共通であると思います。となると、いつかは撤退することになるのではないでしょうか?

 ものづくりの強さをもっと大きな競争力と言えるようにならなければ追いつかれてしまうことになるでしょう。

 何億年前から進化が止まっていると言われるオームガイになっていないでしょうか?

 日本的なものづくり手法は、既にグローバルに真似をされていると思います。それは日本人がグローバルに展開してきたのですから。

 このことが良くないと思っているのではなく、日本的ものづくりが進化していないことを危惧しているのです。

 日本的ものづくりの基本は、お互い様とか人間性尊重とか、心の文化ではないでしょうか?

 これらを失うことなく、近代的ものづくりを発想していく必要があると思います。

 賃金が安い、コストが低いだけで海外生産を決定していた時代はもう終わりではないでしょうか?

 日本人にしかできないものづくりの運営生産技術というものがあって然るべきだと思っています。

 自動車も電気自動車になり、低炭素社会を目指すことになるのですから、既に、既存の工場をどうするのか、新たな事業は何かにすべきか、など日本のおかれた条件の中で考えるべき時が来ました。それも、ここ1、2年で。

 高齢化、人手不足、変化する自然、地震のリスク、平野部への人口集中、終身雇用の縮小、個人事業者の増加、転職の増大、貿易ルールの変化などなどを挙げると、日本として独自に考えるべきことが多いと思います。海外に参考にできる国は無いのです。

 言うならば、「人間性尊重ものづくりIT革命」ではないでしょうか?誰でもどこでも働ける、負担の無い、高度にIT技術を利用、人が行うべきこととITや機械が行うべきことの明確な区別が共有された社会に向かって進んで欲しいものです。製造業の超えるべき課題は多く、多面的な対策を同時期に打たなければいけない。